第十五話 夜道で後ろをついてくる何か

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本当にあった心霊話

第十五話 夜道で後ろをついてくる何か

[体験者] 東京都国分寺市・田中祥子さん・27歳・会社員

自分には霊感がないと思って生きてきたのですが、先日、生まれて初めて奇妙な体験をしました。結果的には何事もなく済んでいるのですが、初めての心霊体験はなかなか不気味なものでした。本当にあった心霊話を募集しているとのことですので、私が体験した話をご投稿させていただきます。

夜道で後ろをついてくる何か

当方、社会人の女です。マンションで一人暮らしをしております。最寄り駅から自宅のマンションまで歩いて10分弱ほど掛かるので、残業で遅くなった日や飲み会のあった日などに夜道をひとりで歩くのは少し怖いです。とはいっても、私はこれまで心霊体験をしたことがまるでなく、お化けは怖いとは思うのですが、実際に遭ったことはないので、どちらかというと変質者に遭いたくない、といった怖さでした。

その日は確か、事務の処理に時間が掛かってしまい、2時間ほど残業をしてから帰途につきました。会社から自宅最寄り駅までは電車で約20分ほどなのですが、帰りにちょっと寄り道をして買物をしたので、最寄り駅についたのは午後10時を回った頃だったと思います。駅前のコンビニに寄り、サラダと豆乳を買い、家に向かっていつもの夜道を歩きました。すると、後ろから何かがついてくる気配がするのです。最初、変質者かと思って警戒したのですが、どうも変質者ではなく、そもそも人間ではないようなのです。というのも、人がついてくる場合、足音や歩く気配がしますが、私についてきている何かは足音ではなく、コロコロと何かが転がるような音を立てているのです。何か丸いものが転がりながらついてきている、という感じでした。

思い切って振り向くと、私から15mほど離れたところに、丸い何かがありました。大きさはサッカーボールより少し大きいくらいでしょうか。でもサッカーボールではなく黒い球体で、謎の生き物が身体を丸めているような、いびつな形をしていました。わけのわからないものがついてきていると知り、背筋がゾッとして、すぐ踵を返して小走りで家に帰りました。丸い何かはしばらくついてきていましたが、それほど早く移動できないのか、しばらく小走りしているとやがてついてこなくなりました。家についてからも怖くて、思わず彼氏に電話したところ、「泊まりに来てくれる」というので、甘えることにしました。でも、その夜は何もありませんでした。しいて言うなら、身体がひどくだるくて、恋人と一緒にいるにもかかわらず、すぐに爆睡してしまったことくらいでした。

翌日の夜は定時を少し過ぎたくらいで上がれたので、そのまま家に帰りました。また変なものがついてくるかと警戒しましたが、何もついてきませんでした。その翌日は、女友達と飲む用事があり、終電近くになってしまいました。「夜遅いからやばいかな……」と思ったのですが、その日も何もついてきませんでした。でも、それからしばらく経って、また夜10時過ぎに駅から歩いていた時、またその黒くて丸いものが私の後をつけてきたのです。同じように走って逃げると、しばらく追い掛けられ、やがてついてこなくなりました。今度は彼氏に来てもらったりはせず、一人で寝ました。怖い気持ちはありましたが、また身体がとてもだるくなってきて、すぐに眠りに落ちてしまったのです。

どうやらその黒くて丸い何かは、私が夜10時過ぎに夜道を歩いていると後ろをついてくるようです。そして、それに後をつけられると、しばらくして身体がとてもだるくなる、ということも分かりました。全く正体が分かりませんが、どう考えてもこの世のものではありません。今まで心霊体験の類を一切してこなかったので、どうしていいかわからず、私が取った選択肢は「夜10時台に家に帰らない」というものでした。9時過ぎまでに家に帰れるようならすぐに帰り、10時台に夜道を歩かなければならない場合はどこかで時間をつぶして11時過ぎまで待つようにしました。このマイルールを守るようにして以降、あの黒くて丸い何かに後をつけられる体験はしていません。

霊能者による検証コメント

暗い夜道で、得体の知れないものに後をつけられる恐怖は中々のものがあったと思います。霊視をしてみましたところ、その黒くて丸い何かの正体は、不浄霊ではなく、土地に憑いている自然霊、いわゆる妖怪の類です。どうやらあまり性質の良いものではなく、昔から辺りの人間や動物の霊気を吸い取ってきた存在のようです。力そのものはかなり衰えているようですが、それでも目をつけられた人に悪影響をもたらす存在であることには変わりありません。霊的な存在ですので、普段誰かの目に触れることは少なく、しかし投稿者様とたまたま波長が合ったようで、ついてくるのが見えてしまったのでしょう。

妖精や妖怪といった自然霊は、独自の法則のようなものに従って動く傾向があります。例えば、決まった時間帯に出没したり、決まった場所だけを移動したり、決まった条件に合う人を好んだりします。ご投稿者様はこの法則を偶然発見し、それ以降「夜10時過ぎに夜道を歩かない」という対策を取られました。これは結果的に大変正しいものであったと言えるでしょう。