第十六話 死者に届く新聞

電話占い陸奥|恋が叶うと評判!本物のイタコ霊能者による電話占い

電話占い陸奥

MENU

鑑定のご予約・お問い合わせ

  • 新規の方の会員登録および受付へのお問い合わせ時間は、午前9時~翌午前5時までとなります。
  • 自動音声案内は24時間受け付けております。
  • ご利用になる場合には、電話番号を通知してお掛けください。
  • ご不明な点がございましたら、0175-28-3270(通話料有料)までお気軽にお問い合わせください。
閉じる

本当にあった心霊話

第十六話 死者に届く新聞

[体験者] 大阪府堺市・野口泰子さん・32歳・主婦

はじめまして。時々電話占いでご相談をさせていただいている者です。こちらの心霊体験談集も興味深く読ませていただいています。私自身には全く霊感がないので、特に不思議なものを見たり感じたりすることはないのですが、高校生の頃、ひとつだけ不思議な体験をしたことがあるので、そちらを投稿させていただきます。

夜道で後ろをついてくる何か

高校生の頃に、新聞配達のアルバイトをしていました。私の実家は財政的にあまり裕福ではなく、また兄弟も多かったので、公立高校の学費だけは出してくれるものの、お小遣いは自分でアルバイトして稼ぎなさい、という教育方針だったのです。それで、あまり人と話すのが得意ではなく、朝に強かった私は、新聞配達のアルバイトを選びました。夜中のうちに起きて販売所に行き、チラシを折り込むなどの準備をして、それから自転車に乗って町内に新聞を配るのです。最初のほうこそルートを間違えたりして大変だったものの、慣れてくるとまったく苦になりませんでした。

そんな配達先のひとつに、あるアパートがありました。アパートには二種類あって、入口に郵便受けがあるタイプのところと、そうではないところがあります。そのアパートは後者で、一軒一軒ドアまで行って投函しなければならない、ちょっと面倒なパターンでした。また、住人はほぼ一人暮らしの中高年ばかりで、どこか鄙びた雰囲気が不気味でした。そのアパートの1階にひとりだけ新聞を取っている方がいたのです。どんな方かはわかりませんが、私が新聞をドアの郵便受けに入れると、向こうですぐガタンという音がして、住人の方がそれを取る気配がしました。時々、気配がしないこともありましたが、私が毎朝新聞を投函すると、大体すぐに取られていた気がします。

新聞配達をしていると、そういったお客さんは決して少なくありません。私が回っていた地域がダウンタウンだったこともあるかもしれませんが、中にはドアを開けっぱなしで朝まで宴会をしていて、飲みに誘われたこともあります。なので、その部屋の方のことも、私は大して気に留めていませんでした。「ここの人はすぐ新聞を取る人」くらいにしか考えていなかったのです。

ある日、急に販売所の社員さんから「あそこのアパートはもう行かなくていい」と言われました。契約を解除されたのかと思いましたが、どうやらお亡くなりになってしまったそうです。昼間、親族の方が電話で事情を伝えてきて「もう配達は結構です」とおっしゃってきたとのこと。私はその前日の早朝にも新聞を投函して、ドアの向こうで新聞を取る気配がしたのを覚えていましたので、顔も知らない方とは言え、なんだかいたたまれない気分になりました。そして「昨日はまだ生きていらっしゃったのに」と思わず口にしたんです。すると社員さんが「いやいや、その方がお亡くなりになったのは五日前だぞ。交通事故だそうだ。昨日ようやく葬儀が終わって、後片付けをしにきた親族の方が電話を下さったんだ」と言い出したのです。「えっ、だって私、昨日ドア越しに」そう言い掛けて、背筋がゾクゾクと寒くなっていくのを感じました。ドアの向こうには誰もいなかったはずなのです。じゃあ私がここ数日ほど感じていた“新聞を取る気配”は……。社員さんはそんな様子を見て何かを察したらしく、「まあ、そういうことも時々ある。あまり深く考えるな」とだけ言い、そのまま無言で作業に戻りました。

その日からアパートは配達ルートから外れ、足を運ぶ理由もなくなりました。目の前を自転車で通るたび、怖くも悲しい気分になったのを覚えています。アルバイトは高校在学中ずっと続けて、卒業と同時に辞めました。そんな私も社会人を経て主婦になり、すっかり普通のおばさんになってしまいましたが、日も登らない早朝に自転車で配達に向かうあの感覚、あのアパートで起きた不思議な出来事は、いまだに忘れられません。

霊能者による検証コメント

大変興味深く読ませていただきました。怖くも不思議なお話で、霊の世界に関わる者でなくとも何か感じる物があるのではないか、という印象を抱きました。霊能者の視点から検証いたしますと、実際に霊が新聞を受け取っていたのはほぼ間違いないと言えるでしょう。これはふたつの理屈で説明できます。まずひとつめの理由は、人の魂はその死後四十九日までは現世に留まり続けるということ。その方は亡くなられて五日後まで新聞を受け取り続けていたようですが、しっかり成仏される方であっても死後一ヶ月ほどは浮遊霊として現世に留まり続ける場合が多いので、かつて暮らしていたご自宅にいらっしゃるのも何ら不思議なことはありません。

そしてもうひとつの理由は、玄関のドアが境界の役割を担っているということ。玄関の外側と内側、部屋の外と中とでは、霊的な意味合いにおいて世界そのものが違うのです。これは霊だけでなくもっと位の高い神様にも同じことが言えます。霊的な存在も人と同じように、玄関や居間、台所やトイレという概念を重視し、玄関から入り居間に向かったり、トイレに留まったりします。風水の開運法で「玄関を整頓する」「トイレの換気を良くする」といったことがよく言われていますが、それは、実際の霊や神様の動き方を踏まえた上のことなのです。話を戻しますと、その霊は死者として部屋の内側におりました。そしてご投稿者様は生者として外側におりました。これが、それぞれ死者の世界、生者の世界という構図となり、ドアの外側から内側へ、郵便受けという唯一の道を通して交信していた、ということになります。このような考え方をすれば、ご相談者様の投函した新聞が死者に届いたことを霊的に説明することは充分可能です。