第十八話 オトキタさん

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本当にあった心霊話

第十八話 オトキタさん

[体験者] 神奈川県横浜市在住・金田聡美さん・32歳・会社員

会社で残業していると、不意に掛かってくる謎の電話。「オトキタさんはいらっしゃいますか……」女の声がそう訊ねてくるが、決して受け答えをしてはいけないと言われ……。

オトキタさん

中堅規模の製造会社に勤めて10年目になります。昨年、昇進に伴って部署が変わり、新商品の企画やプロモーション活動などに携わることになりました。入社以来、ずっと営業畑を歩んできたため、最初は毛色の異なる業務に戸惑うことも多かったのですが、直属の上司と同僚たちの手厚いサポートのおかげで今ではすっかり馴染んでいます。ただひとつだけ、どうしても慣れないことがあり、今後その問題にどう対処すれば良いのかを陸奥さんにご相談させていただいたというわけです。その際、担当してくださった霊能者の先生が、「興味深い内容なのでWEBページのコーナーに掲載したい」とおっしゃったので、会社には内緒で投稿させていただきました。

新たな部署は課長、そして新任のチーフとなった私の下に部下が5人という構成で、男性と女性の比率がほぼ半々という職場です。広報とは全く違う業務なのですが、マスコミや広告会社などとの付き合いも多く、その他にも様々な業界の担当者から電話が掛かってくることがあります。そのため着任早々、「絶対に対応してはいけない電話がある」と言われた時には正直、面食らいました。

「それってもしかして、お客様からのクレームみたいなものでしょうか?」私がそう訊ねると課長は頭を横に振り、「そういうのは他に専門の部署があるだろう。うちの課には掛かってこないよ」と否定しました。そして、「基本、午後7時以降は誰かがオフィスに残っている場合でも、固定の電話には一切出ないようにと周知してあるんだ。またうちに連絡してくる他社の担当者たちにも、夜間、急用がある時にはそれぞれの課員の携帯に直接、掛けてくれるようにお願いしている。だから君も今後はそれに習って行動してください」と、いつになく暗い表情で告げてきたのです。それ以上、こちらが突っ込んで聞いてくることを拒絶しているような雰囲気でした。疑問が解消しないまま仕方なく自分のデスクへ戻ると、今度はE子さんという女性の部下が私にこっそりと話しかけてきました。「チーフ、お昼休みに少しだけお時間いただけますか?」「いいけれど、何?」「今の課長からのお話、私がもう少しご説明しますから」

そんなわけで昼休みに入るとすぐ、E子さんと一緒にランチへ出掛けたのです。彼女が語った話は、課長のそれに輪をかけて首をかしげる内容でした。「……大抵は夜の10時過ぎに掛かってくる電話らしいので、ほら、うちの課はその時刻までの残業ってほとんどありませんから、実際さほど気にする必要はないんです。だから課長も、万が一のためにいちおう注意されたんだと思います」「話が全然、見えないんだけれど。まず、電話はどこの誰から掛かってくるの?」「それは分かりません。ここ5年くらいは誰もその電話を受けていないので」「ええっ、どういうことなのよ!」詳しく説明すると言いながら一向に要領を得ない受け答えに、つい苛立ってしまいました。すると彼女は申し訳なさそうな表情でうつむき、「うーん、何て言ったら良いのかなぁ……」と思案し始めました。私は語気を荒げたことを謝り、話の続きを待ちました。

「私が先輩から聞いた話をそのままお伝えしますね。まずその電話は非通知とかではなくて、ちゃんと相手の番号も表示されるそうです。それで何の気なしに受話器を取ると、若い女性の声で『オトキタさんはいらっしゃいますか』と訊ねてきて……」「オトキタさん?誰?」「それも分かりません。わりと珍しい苗字ですよね。人事部の話では会社の創業以来、派遣や嘱託も含めてその苗字の社員が在籍したことは一度もないそうです」「じゃあ、間違い電話ということ?」「普通に考えればそういうことになるんですけど……」E子さんはそこで言葉を濁しました。そしていかにも言いにくそうな表情で、「でも、いったんその電話に出てしまうと、身の回りでおかしなことが起きてしまうそうです。具体的に何が起きるのかは一切分かりません」と付け加えたのです。

「もちろん私だって、そんな馬鹿な話を信じているわけじゃありませんが、新しく異動してきた社員には一種の申し送りみたいな形で伝えるのが習わしになっていて、それでチーフにもお話ししたというわけです」オフィスに戻ってからもしばらくは、謎の電話のことが頭を離れませんでした。E子さん以外の同僚や部下からもひととおり話を聞いてみたかったのですが、課長は自分から私に伝えながら明らかに話自体を嫌がっている様子でしたし、無闇に詮索するのは賢明ではないと思い直しました。そうこうするうちに日にちが過ぎ、電話の件は自然と脳裏を離れていたのですが、ある日、こともあろうに私自身がその体験者となってしまったのです。

その金曜日は仕事を定時に終えていったん帰路についていました。しかし、通勤電車の中で重要なデーターの入ったUSBをデスクに置き忘れたことに気づきました。データー書類を参考にしながら、週末に家で企画書の下案を作る予定だったため、しかたなく会社に戻ることに。時刻は午後8時を少し過ぎたくらいでしたが、すでにオフィス内は無人でした。隣接する他の課も同様で、そのフロアには私しかいないようでした。照明の大半も落とされていて薄暗く、何となく気味悪く感じながら、足早に自分のデスク周りを探しました。

幸いUSBはすぐに見つかり、それをバッグに仕舞うとまたそそくさと出口へ向かったのですが、その時にいきなり背後で電話のベルが鳴り響いたのです。振り返って電話機に目を遣ると、E子さんが言っていた通り、相手先のナンバーはディスプレイに表示されていました。090から始まる携帯番号でした。でも、問題の電話が掛かってくるのはもっと遅い時間のはず。しかもちょうどその頃、私は外部の複数の業者と密に連絡を取り合わなくてならない案件を抱えていたのです。そんなこともあり、気がつくと受話器を手に取っていました。(まさかこれが課長とE子さんが言っていた電話のはず、ないよね……)そう思ったのも束の間、最初に耳許に届いたのはエアコンの低周波のような重苦しいノイズでした。やがて、その雑音に混じって女性の声が聞こえてきました。

「オトキタさんは……いらっしゃいますか……」

思わず返事に詰まり、慌てて受話器を降ろそうとする間も受話器の向こうでは微かな声が続いていました。「切らないで」と、何度も繰り返していたように記憶しています。もちろん言うなりになるわけがありません。受話器を元に戻すのももどかしく、一目散にオフィスを飛び出しました。

その日を境にして、私のプライベート用の携帯に見知らぬ相手から頻繁に電話が掛かってくるようになりました。一度だけ通話したことがあるのですが、やはり同じ女の声で「オトキタさんはいらっしゃいますか……」と壊れた機械のように繰り返していました。通知される番号はその都度違っており、着信拒否にしてもきりがないので対応に苦慮しています。電話の主、そしてオトキタという人物が何者であるのか、一切が謎のままで究明する手段も思いつかぬまま、途方に暮れて陸奥さんにご相談させていただきました。これが心霊現象と呼べるものなのかどうかは分かりませんが、いつか私の家にオトキタを探してあの女が訪れてくるのではと想像してしまい、それが恐ろしくて仕方がないのです。

霊能者による検証コメント

初めてお話を伺った時には、さすがに作り話ではないかと疑ってしまいました。しかし、追跡的な遠隔霊視を試みたところ、詳細は不明ながら霊が関与していることはほぼ間違いないと断定できました。とりあえず電話口で簡易的なお祓いをさせていただき、さらに可能であればお勤めの部署に神主なり僧侶なりを呼んで、適切な供養を執り行ってもらうことも提案いたしました。

霊というのはつまるところ電磁波と同性質の波動エネルギーであるため、電子機器との相性がとても良いのです。事実、昨今ではスマートフォンやPCタブレットなどを介した心霊現象の報告も多くなっているようで現在、私どももそうした新手の霊障に対応するべく、最新の通信機器に関する知識を学習している最中です。

その後、金田様は上司に談判されて、こちらの助言通りに対応していただいたとのことで、以降は謎の電話がピタリと止んだと伺っております。感知した霊気は非常に強く、そのまま放置して現象が止むとは思われなかったので、今回の措置は正解でした。ただ、これを機に社内での立場が危うくなる可能性も否めませんので、そうした支障がないように祈祷の力でサポートさせていただきました。