第1回 巫蠱(ふこ)の残骸 【前編】「掘り返した土の中から、得体の知れない動物の骨がいっぱい出てきたんです…」

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呪いにまつわる恐ろしい話

第1回 巫蠱(ふこ)の残骸 【前編】

掘り返した土の中から、得体の知れない動物の骨がいっぱい出てきたんです…

亡くなった伯母が残した築年数を経たアパート。それを遺産として引き継いで、自ら大家として住み始めた初老女性が体験した原因不明の恐怖体験。夜な夜な屋内をさまよう女の影の正体は……?!

はじめに
この心霊事件と関わった経緯について

得体の知れない動物の骨がいっぱい出てきたんです

私がこの件に関わったのは、今から3年前の秋です。当初は同業者のKさんという男性から「しばらく僕の代わりに、心のケアをして欲しい人がいるんですが」などと持ちかけられ、話の仔細を聞くことになったのです。

Kさんは霊能相談とは別に本業を持っている方で、しかもその肩書きが貿易会社の経営者という変わり種です。それが仕事の都合で急遽、海外へ赴任しなくてはならない立場となり、継続して相談を受けている顧客のうち、予断を許さない状況にある何人かを知り合いの霊能者に割り振るようなことをしていました。その過程で私にも白羽の矢が立ったというわけです。「向こうが不安を感じた時、電話でアドバイスしてあげるだけで良いですから」と言われ、電話鑑定の仕事にも影響はなさそうだったので快諾しました。

その後は当事者の女性から頻繁に連絡を受け、都度都度アドバイスを差し上げるというやり取りを続けていたのですが、彼女が語る話が不気味な呪詛がからんだあまり例を見ないものであったため、問題が解決した後も記憶に強く残っていたのです。

それで今回、陸奥のスタッフから「霊的に特殊な鑑定実例を探している」と言われた際も、真っ先に思いついたのはやはりこの案件でした。さっそくその女性やKさんを初めとする関係各位に確認を取ったところ、「本人特定ができないようにぼかして書いてくれるなら発表してもかまわない」とのお許しをいただき、拙筆ではありますがここに発表した次第です。

都内の1人暮らしから一転、遺産相続したアパートに転居

この件の当事者は当時60代半ばの女性で、名前は仮に三浦さんとしておきます。彼女はその15年ほど前に若くして愛する旦那さんと死に別れた不遇の身の上で、以後は都心のマンションで寂しい1人暮らしを続けていました。幸い故人が残してくれたお金もあり、毎日の生活に不自由はしませんでしたが、生前の旦那さんとの間には子供がなく、そろそろ老後の身の振り方を決めなくてはと思案していました。すると、まるでその機を見計らったかのように思わぬ話が舞い込んできたそうです。

それは遺産相続の話でした。前月に90歳で大往生した母方の伯母が財産分与に関する遺書を残していたことが分かり、その相続者リストの中に三浦さんの名も連なっていたのです。

彼女が伯母さんから遺産分与されたのは、都心からさほど遠くないS県某市の郊外にある200坪あまりの土地でした。最初はすぐに売って現金に換えてしまうつもりでしたが、市街の中心から離れた立地で交通も不便、そのため売ったとしてもさほどの金額にはならないと分かりました。

さらに現地には築年数が30年近い古ぼけたアパートが建っており、今でも入居者の出入りが途切れなく続いていると聞いて、三浦さんはにわかに方針を改めたのだと。つまりほとんど儲けが出ないような価格で売るよりも、継続的な家賃収入を得た方が得ではないかと考えたわけです。

「近くに大きな工場がいくつかあって、そこに短期で出入りする独身の働き手がわりとひっきりなしに部屋を借りていることが分かったんです。私も騒音が多い都会の暮らしにうんざりしていたので、これ幸いと自分も引っ越すことを決めました」と、初めて電話でお話しした時にそうした詳しい経緯を伺った覚えがあります。

さっそく東京のマンションを引き払い、相続したアパートの1階角部屋に転居した三浦さんは、それからしばらくの間、ほぼ理想通りの暮らしを続けることができました。周囲はそれなりに自然が豊かで、幹線道路からも離れているので騒音も気にならないという良好な環境。日常の買い物は不便になったものの元々、車の運転が好きなタチなので、最寄りのショッピングセンターまでミニドライブ気分で出掛けるのもまた楽しみと、雑誌やテレビで見るような憧れのカントリーライフとまでは行かないまでも、隠居暮らしのスタートとしては満更でもない暮らしぶりでした。

しかし、ある時期を境に、その小さな幸せが音を立てて崩れたのです。きっかけはアパートの敷地と隣接する一画で始まった、業務用の駐車場の工事でした。

アパートが建つ敷地の由来を探ると、意外な事実が判明

ここでアパートとその周辺の形状、立地などについて、少し説明を加えておきます。まずアパートの造りは2棟建てで、それがぴったり向かい合わせに建つ形。三浦さんが居室にしていたA棟1階の角部屋を除くと、店子の部屋は全部で11室。入居しているのは全員単身の男性で、主に20~30代の若い世代が中心となっていました。

なお建物部分を含んだ敷地全体の広さは約200坪と書きましたが、普通に想像するような平坦で真四角の宅地ではなく、とくに北側に面した一辺は緩やかな勾配になっており、そのまま雑木林の丘陵まで続いていたと言います。

周囲には畑地や野原が広がり、その中に少数の民家が点在するといった具合で、引っ越した当初は近所付き合いもほとんどなかったのですが、仲介を頼んでいた不動産屋の口利きで、その地域の町内会へ顔を出すようになってからは古くから地元に住む人々とも知り合うことができ、自分が住んでいる土地の由来を教えてもらう機会もあったそうです。

「町内会長が言うには、私が相続したアパートの土地は畑や田圃を潰したものではなくて、元をたどると大きな農家の屋敷跡だって。そこの一家が昭和の高度成長期の頃に廃業して建設関係の会社に土地を売り、しばらくは資材置き場のようになっていたらしいのですが、それからさらに二転三転して今の建物ができたと聞きました。どうしてそんな場所が伯母の所有物になったのかは今ひとつ分からないのですけれど、伯母の旦那さん、つまり私の義理の伯父も生前はS県内で建設業を営んでいたので、恐らくそういう業者間のつながりで手に入れたものだと思いました」とのことでした。

町内会長の話を聞きながら、不審な点にも気付いたそうです。

「元々の農家がなぜ廃業して地元を離れたのか、その理由を聞いたとたん、会長さんは急に慌てたような顔をして口をつぐんだんです。何かいわくがあるんだなって、すぐにピンと来ました。それで他のご近所さんにもそれとなく聞いて回ったら、そこの家では一時期、病死や事故死などの悲惨な出来事が続いて、働き手の男性が全員死んじゃって…。結局、それで生活が立ち行かなくなって引っ越したことが分かりました」

自分とは縁もゆかりもない過去の出来事とはいえ現実に今、暮らしている場所のことですから、決して気持ちの良い話ではありません。余計なことをほじくり出して少し後悔したそうですが、幸いアパートはその頃も満室でとくにトラブルもなく過ごせているので、さほど気には留めませんでした。

隣の空き地で始まった駐車場の工事。掘り返した土の中から、いくつもの頭蓋骨が現れ……

話は元に戻ります。相続した土地のいわくを知ってしばらく経った頃、三浦さんは上記の町内会のネットワークを通じ、アパートと隣接した空き地が駐車場として整備されることを知りました。施主はその空き地を所有する土建関係の企業で、時折、業務用のトラックなどが停めてあることは認識していました。新たな工事では、そこの地面全体にコンクリートを敷き詰め、プレハブの倉庫なども作るとのことでした。

それから数週間後に実際の工事が始まり、隣の空き地にショベルカーが入りました。重機から発する予想以上の騒音に顔をしかめながら、三浦さんは窓越しにしばらく様子を眺めていたのですが、途中でいきなり作業員たちが騒ぎ出し、何が起きたのかを確かめるために外へ飛び出していきました。

「おい、停めろ。骨だ!骨!」

アパートの庭先から首を伸ばすと、ヘルメットを被った工事関係者が、図面を片手に大声で叫んでいるのが見えました。さらにその男性が指差した方へ目を遣ると、パワーショベルで掘り返されたばかりの穴の底に灰褐色の破片が散乱している様子が飛び込んできたのです。

「それ全部、古い骨でした。犬だか猫だか牛だか分からないけれど、とにかく大小色々な獣の頭蓋骨が出てきたんですよ。それも1個や2個じゃなくて、その場で山にして積めるくらいにね。傍で見ていた私も腰を抜かしましたけれど、工事の人たちはそれはもう、気味の悪そうな表情を浮かべていましたね」

皆さんもご存知かもしれませんが、建設工事などの途中に大昔の住居跡や貝塚などが見つかると、作業を一時中断しなくてはいけない決まりがあります。自治体ごとに詳細が決められている、埋蔵文化財の保護措置というものです。この時に出土したのは年代も分からない動物の骨だけでしたが、工事に携わっていた責任者の男性はこの先に遺跡などが現れた場合、竣工予定が遅れてしまうと考えたらしく、すぐに三浦さんの部屋を訪れて、「今日のことは黙っていて欲しい」と頭を下げてきたそうです。

「こちらもお隣さんとの間に余計な波風は立てたくないですから、見なかったことにしますと言っておいたんです。地面の下から出てきた骨はその日のうちに全部回収して、トラックへ積んでどこかへ運んでいっちゃった。それで翌日からはすぐに通常の作業に戻って、1ヶ月足らずのうちにトラック用の駐車場と倉庫ができちゃったの。あの工事さえなかったらあんな恐ろしいことも起きなかっただろうし、ノンキに大家さんの暮らしを続けていられたわけだから、その時ことをずっと悔やんでいますし、お隣さんの会社を今でも恨んでいますよ」と、そう語った三浦さんの声は怒りに震えていました。

彼女の口から出た『恐ろしいこと』とは、獣の頭蓋骨が出土した日からアパートで起き始めた一連の怪奇現象のことです。それは謎の人影の出現から始まりました…。

【中編へ続く】