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呪いにまつわる恐ろしい話

第2回 廃神社のマネキン人形 【後編】

ついに霊能者は謎の人影の正体を捉えた。よく見れば、それはマネキン人形などではなく…

詳細な霊視の結果、廃神社に祭られていたのは本来、山に鎮まる精霊的な存在であることが判明。さらにA沢家には代々、呪術師の血が流れていたことも明らかとなる。では、集落の人々を恐怖に陥れた謎のマネキン人形の正体は、一体何だったのか?

老女が語った山爺(やまじじい)の話。「真っ黒な大入道が、いきなり山の木の陰から現れて…」

不気味な呪符の束

老婦人が語った話の内容は、奇妙な目撃談に関するものでした。彼女の父親がまだ若かった頃、山中の炭焼き小屋に独りで寝泊まりしていると、夕刻近くに誰かが訪れてきたような気配を感じ、不審に思いながら外へ出てみたそうです。すると…

「身の丈が十尺(約3メートル)を超えるようなとんでもない大男が、小屋のすぐ近くに生えていた椎の木の後ろからいきなり姿を現したんだって。それで父ちゃん、腰を抜かして、そいつが山の奥へ消えるまで地べたに這いつくばってブルブル震えていたんだってさ。全身が墨みたいに真っ黒くて口だけが真っ赤な大入道が、まるで山犬みたいな吠え声を轟かせて、それはもう恐ろしい有様だったそうだよ。もちろん、うちの父ちゃんはそれまでそんなバケモノを見たことはなかったんだけど、もしかしたらこれは集落の年寄りたちが『山爺』と呼んでいる山の神様なんじゃないかと気づいたって…。昔、父ちゃんが酔っ払った時なんかに、よく家族にそのことを話していたなって今、先生の話を聞いて急に思い出したわけさ」

老婦人が描写した山爺の姿が、自分の霊視した山霊と同じ存在であることに気づき、川内さんはさらに詳しい話を聞き出しました。

「それでその時、お父様はどうなったのですか?その山爺に何か危害を加えられたとかは?」

「いや、その時はそれっきりだったそうなんだけれど、山を下りてから少しして急に寝込んじゃってね、昼となく夜となく山爺の夢にうなされて、見る間に骨と皮だけになっちゃって。わざわざ町の医者まで運んで診てもらっても、何の病気か一向に分からなくて、一時は生死の境をさまよったそうだよ。それでいよいよ手の施しようがなくなった時に、A沢の分家が助けてくれたんだって」

「また、A沢家の登場ですか?助けてくれた、というのは?」

「その頃はもう、あそこの家は地元の神主みたいな仕事をやっていたからね、この神社の中で病気平癒のご祈祷をしてもらったのさ。そうしたら、ホント嘘にみたいに治ったって」

そういうと老婦人は、遠くを見るような表情を浮かべてため息をつきました。

「昔はね、A沢の家はこの地域の人たちから尊敬を受けて、色々と感謝されていたんだよ。少なくても先代の頃まではね。それがあの馬鹿息子が跡を継いでから、とんでもないことになっちゃって…」

霊能者は、朽ちかけた拝殿の屋内に隠された秘密があると直感した

霊視結果を踏まえた上で様々な証言をあらためて聞くうちに、川内さんの頭の中で次第にパズルのコマがはまり込んでいきました。そこでまた霊的な感覚を解放して周囲一帯を詳しく探査。最終的には神社の内部に、何か力の強い呪物(まじもの)が隠されていることまで突きとめたそうです。

さっそく建物内を検分したのですが、そこには朽ちかけた板敷きの狭い空間があるだけで、神鏡や祭壇などの神具はおろかめぼしい痕跡は全く見当たりませんでした。しかし、すでに確信を得ていた彼女はなおも諦めず、「なるべく早期にこの神社自体を解体してくれないか」と訴えたところ、得体の知れない祟りを恐れて渋る人が大半でしたが、リーダー格であるN子さんの鶴の一声で、それを実行することが決まりました。

そしておよそ1ヶ月後、再び当地を訪れて解体工事に立ち会ったところ、打ち壊した廃神社の土台部分に何かが埋められているような痕跡を発見したのです。専門業者が持ち込んだショベルカーで掘り起こしてみると、土中の奥深くから石棺のような物体が現れました。

蓋の役目をしていた石板を除けてみると、その中に入っていたのは人間と同じ大きさの木偶人形でした。土の層と隔てられていたおかげでほとんど腐食しておらず、何を目的とした品なのかもすぐに察せられました。

「この人形はここの祠の元々の御神体ですね。いつの頃から埋まっているモノなのかは分かりませんが、恐らくA沢家の先祖の誰かが密かに埋めたのでしょう。人形の中には、皆さんが古くから『山爺』という呼び名で畏れ敬ってきた、この土地の山の神様の分霊(ぶんれい)が封じられています。そんな場所を長い間ないがしろにしたために、この集落全体がいわば神様の祟りを受ける形になってしまったんです」

川内さんがそう告げると、その場の人々が一斉にざわめき始めました。

山の神の祟りと人の手による呪詛の力が融合し、異様な心霊現象が引き起こされた!

この件に関して、川内さんが解明した真相は以下のような事柄でした。 霊に関する素養のない集落の人々のために、実際の場ではもっと平易な言葉を使って簡単に報告したそうなのですが、ここでは川内さんが伝えたかった本来の概容をそのまま記させていただきます。

  1. まず前提条件として、当集落がある付近は山岳地帯から下りてくる自然の強い気が滞留する場所で、元から超常現象が起こりやすい環境が整っている。古来、近辺で山の精霊(山爺)の目撃例が伝えられているのも、そうした特殊な霊的磁場が原因。高波動の山の気と水の気を身にまとう形で、幽体次元の存在が可視化しやすい。
  2. ここで言う山爺というのは古来、様々な呼称で言い伝えられてきたある種の自然霊を指す呼称のひとつで、同種の存在は各地域により「山彦」「山精」「山男」「山鬼」「イッポンダタラ」などの名で呼び習わされている。
    元々は山岳地帯に発する強力な自然波動が凝集して生まれる霊的意識体で、とくに地磁気のエネルギーが湧出する山間の龍穴付近に生じやすい。これを神として敬えば、稲荷神や蛇神のように現世利益をもたらしてくれることもあるが、本来は世俗の人間が発するケガレを非常に嫌うので扱いがとても難しい。
  3. A沢家の血筋というのは山岳修行者、あるいは漂泊(ひょうはく)の民の末裔のような家系で、現在の集落に定着するに当たって自分たちが古くから信仰していた山の神をわざわざ人里に勧請した。
    以降、神祠は大切に守られ、本家筋が土地を去った後は分家がその役目を引き継いだ。少なくとも祠の手入れがきちんとなされていた間は、集落の人心も平安に保たれていたはずで、それはこの祠を中心に張り巡らされた霊的な結界の力に負うところが大きい。
  4. 今回、渦中の人となっているA沢××という人物は、自分の家系に伝わる特殊な呪術信仰の力を借りて、過大な現世利益を得ようとしていた。しかしそれは上手く行かず、逆に周囲と人々の間に修復不能な軋轢を引き起こしてしまった。
  5. 過去霊視によってトレースする限り、A沢が自ら住まう屋敷内で怪しげな呪術の真似事をしていたことは間違いなく、集落の人々を深く恨んで呪っていたことも事実と思われる。またその際には、先祖代々伝わる呪術の伝授書のような記録に目を通したのかもしれない。ただし本人には行者や陰陽道士としての修行経験がほとんどなく、とくに術の成就に不可欠な念の強さが不足していたため、呪詛の装置は形だけのものとして残った。
  6. A沢の出奔後、彼が屋敷内に残した呪詛の仕掛けは、前述のごとく不発に終わり、そのまま20年近い年月が流れたが、ある出来事がきっかけとなって図らずも発動するに至った。多くの人々が目撃しているマネキン人形に似た不気味な人影というのは陰陽道で言う式神(しきがみ)的な存在で、山の精霊(山爺)が持つ負の側面、つまり人間に災厄や不幸をもたらす疫病神としての性格が投影されている。また、さらにそこに術者であるA沢自身の意念も融合した人工的な霊体なので、A沢の屋敷と神社に仕掛けられている呪詛の仕組みを解除すれば自然に霧散するはず。

住人たちを前にしてこうした説明を終えると、さっそくN子さんが疑問をぶつけてきました。

「あの今、先生が最後の方でおっしゃった『ある出来事』というのは具体的にどんなことなのですか?」

「皆さんの前に現れたのは、マネキン人形ではありません。A沢の魂の成れの果ての姿です…」

それまで言おうか言うまいかと迷っていた川内さんは、しかたなく聞かれるままに答えたそうです。

「皆さんが謎の人影を見掛け始めた前後に、A沢がどこかで命を落としたんです。しかも尋常の死に方ではなく、自殺や事故、犯罪などに巻き込まれた末の非業の死という形で…」

「ますます意味が分からないのですが…」

「つまり、あなた方を悩ませていたアレは、A沢の魂の成れの果ての姿なんですよ。彼はこの世を去った後、自分が20年前に仕掛けた呪詛の罠に取り込まれてしまったんです。山の神様の逆鱗に触れて死後、無理矢理に引き戻されたのでしょうね。例えば稲荷神社の眷属のお狐様とか井戸神とか、そういう霊的存在に祟られて一家丸ごとが滅んだという話を耳にしたことはありませんか?そういうのはただの迷信ではなくて、実際にわりとよく起きることなんです。山霊や水霊、樹霊といった自然精霊が人間を祟るとき、その作用が極端な形で現れることは、私たちのような仕事の者にとっては初歩的な常識なんです」

この時すでに彼女の霊眼には、マネキン人形に喩えられた不気味な式神の姿が捉えられていました。表情が失せてのっぺりとした外観は神社の地中に埋まっていた木偶人形の容姿そのもの、さらに合成樹脂やプラスティックに似た肌合いというのは、死体と化したA沢の皮膚状態がそのまま反映されたものだったのです。

「皆さん、死蠟(しろう)という現象をご存知でしょうか。低温で湿気のある環境に死体を置くと、ほとんど腐敗せずに生前そのままの姿を保つことがあるんです。体内の脂肪が変化して、蠟や石鹸のような状態になるそうです。腐敗菌が少ない土の中に埋まっていたり、水中に沈んでいる死体などは死蠟化することがあると聞いていますが、恐らくA沢の死体もそういった場所で、誰にも発見されないまま打ち捨てられているのでしょう」

川内さんの最後の言葉に、N子さんの顔色が青ざめました。

御神体と呪符を入念に供養し、不気味な心霊現象も無事に終息

その後、川内さんは事態を収束させるための具体的な処置に取りかかりました。

呪詛除けの護符はすでに各戸へ配布し終えていたのですが、それに加えて掘り起こした御神体とA沢が残した呪符や呪具を入念に供養。その上でお焚きあげの儀式を敢行しました。また祠が置かれていた敷地の浄化やA沢家の廃屋の解体手順なども折に触れて指導し、全ての工程が完了するまでにおよそ1年を要したとのことでした。

一時は住人たちの間から、「祠を再建し、あらためて山の神様をお祭りし直したい」という声も上がったらしいのですが、「中途半端な奉仕しかできないのであれば、むしろそうしたことはしない方が無難」という川内さんのアドバイスで立ち消えとなりました。

「地元の人間でさえ由来を知らないような祠や石碑とか、社格のない小さな神社とか今も全国の至るところにありますが、できれば気をつけて扱うべきですね。たまたまそこに自然精霊などが祭られていたりすると、後で思わぬしっぺ返しを受けることがあるので…」と、それが川内さんの結びの言葉でした。