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呪いにまつわる恐ろしい話

第3回 首吊り自殺が連鎖する場所 【中編】

飲み食いしに来るお客の陽の気で幽霊の陰の気を追い払え、と言われたんですよ

相談者から事情を聞くうちに、問題の土地を巡って歴代の地主が全員自死していることを知った霊能者。自殺霊が出るというマンションは案の定、強力な霊道に侵食されていた。その屋上で周囲の状況を見渡すうちに、土地に封じられた秘密の一端に気づく。

代々の地主が不審死を遂げる、呪われた土地

呪われた土地

Dさんが雇った興信所の調査によれば、裏手の土地に家作の住宅群が建っていた昭和の末、病苦や借金苦に追われた住人の自殺が相次いだそうで、それ以来、幽霊が出るという噂が流れ始めたとのことでした。

「じつはここを買う当時ね、『縁起が悪い土地』だとこっそり教えてくれた同業者もいたんです。が、あいにく耳を貸しませんでした。

自分が横から手に入れるために、私のことを牽制しているんじゃないかと勘ぐってね」

「その忠告してくれた方から、事前に詳しい話を聞いていれば良かったですね」

「いやいや、その男も幽霊がどうこうっていう話までは知らなかったんですよ。ただ、『代々の持ち主がおかしな死に方をする土地だから気をつけろ』とね。で、最初に入札で手に入れた、廃屋付きの土地に話が戻るわけですがね…」

「今、このお店が建っている辺りですね」

「ええ、そうです。ここに以前あったそのボロ家って言うのが、そもそもの初めに家作を経営していた地主の家の跡地だったんですよ。いつの頃だか分かりませんが、当主が持病を苦にして鉄道自殺を図って、跡を継いだ息子が死んで間もない親爺の所有地を切り売りしたわけです。後はその跡取りから家作の土地を買って、賃貸マンションを建てた例の男ですがね…」

「結局、その人の行方は分かったんですか?」

「莫大な借金で首が回らなくなって、東南アジアのどこかへ高飛びした挙げ句、そこで不審な死に方をしたと聞きました。一体こんな田舎でどういう商売をやっていたんだか、まともな銀行融資だけじゃなくて悪い筋からもかなり借りていたみたいでね、マンション1棟と自宅を売ってもまだ返済に足りなかったようで…」

「お話の途中、すみません。そもそもこの一帯の土地を持っていた地主の息子さんという方は、その後、どうなったのか分かっていますか。自宅が競売に掛けられたのは、その人の代ということですよね。相続税が払えずに土地を手放すというのはよく聞く話ですけれど、やはりそうした理由だったんでしょうか?」

「まあ、恐らくそういうことなんでしょうね。ただ、本人から話を聞くことはもう無理ですよ」

「なぜですか?」

「その息子って男もとうの昔に死んでます。どこかで首を括っているのを発見されたとか」

「またしても首吊りですか…」

生きている人間の陽の気で、土地の地縛霊の陰の気を駆逐?

あまりにも不吉な話の成り行きに、その手の話を聞き慣れているはずの私も言葉を失いました。「あなたは怖くないのですか?」と喉元まで出ましたが、先にDさんが言葉を続けました。今度は日本料理店を始めたきっかけについての話でした。

「最初にお祓いを頼んだ坊主がね、『ここを人が集まる場所に変えろ』って言ったんですよ」

その僧侶は、Dさんの奥さんが連れてきた密教系の霊能者で、強力な加持祈祷の力で悪霊を祓うと評判の持ち主であったそうです。しかし、何度お祓いを試みても思うような結果が出せず、最後には「この土地に関しては、ある程度の時間をかけて気長に供養する必要がある」と言い出しました。

法力をもって強引に折伏(しゃくぶく)しても、特殊な土地の気の作用で霊がまた復活してしまう。これをいくら繰り返してもイタチごっこなので、周辺を含めた霊的環境の質を根本的に転換させる必要がある。この土地から生じる極陰(きょくいん)の気に対して、生きている人間の陽の気をぶつけて中和させることで、次第に地相(ちそう)が良い性質を帯びてくる、などと主張。「ちょっと大掛かりな客商売をやってはどうか」と助言されたそうです。

「まあ、そう言われても素直に頷けませんでしたよ。だってその坊主は結局、バケモンを祓えなかったんだから。ただ、私自身、前から飲食の経営に興味があったもんでね。半分ヤケクソで開いてみたんですよ、この店を。それでどうせなら自分の趣味も取り入れて遊んじまえってなもんで、わざわざ関西の店で働いていた板前を引き抜いて、内装なんかにもかなり凝りました。『本格的な料亭の味を気軽に食べられる店』っていうコンセプトでね。それまでこの辺りには本格的な日本料理屋がなかったこともあってね、おかげで初めのうちはそれなりに繁盛したんですが、半年も過ぎた頃にはこっちの方も客足が遠のいちまって…」

「お店の中で幽霊を見てしまうお客さんが続出したわけですね」

「そういうことです。『裸足で店を走り回っている、薄気味の悪い女がいる!』とね。あの見かけ倒しのクソ坊主の言葉を逆手に取れば、『客が持ち込む陽の気が、幽霊の陰の気に負け』ちゃったわけです。笑うに笑えませんよ、全く」

「すでにある幽霊マンションの件と併せて、かえって事態が悪化したことになりますね」

「ええ、我ながらどこまで間抜けなんだと心底、悔やみました。けれど、ここまで投資がかさんだ以上、もう引き下がれないんですよ。分かってもらえますかね?」

「お気持ち、良く分かります」

「先生はさっき、走る女のこともおっしゃっていましたよね。幸か不幸か私はまだこの目で実物を見ていないんですが、そいつは一体どういうモノなんですかね?」

「素性などについてはまだ何も分かりませんが、かなり強い力を持っていることだけは確かです。こうしてお話ししている今も、あそこの厨房の辺りを駆け回っていますし…」

私が彼方を指差すと、Dさんは「や、やめてくださいよ!」と大仰に肩を竦(すく)ませました。

千客万来の陽の気で土地が発する陰の気を中和するというのは、たしかに面白い発想ではありますが、多くの人が集まれば、それに付随して様々な念が集積されていきます。世の中は善男善女ばかりではありませんから、悪い因縁や想念の持ち主がより多く引き寄せられてくるリスクもあるわけです。仮にも霊能の専門家がその点を考慮しなかったとは考えにくく、結論としては投げやりな対処法であると言わざるをえません。

察するにその霊能者は、いったんは土地の霊を封じることに成功したのでしょう。しかし、すぐにまた状況が元に戻ってしまったため、考えあぐねて奇策に走ったのでは?などと考えました。本来であれば土地の歴史と因縁を掘り下げ、一帯に発している邪気の源流を突きとめてから事に当たるべきでした。

帰りがけに立ち寄ったマンションが気に掛かり、急遽、調査を続行

陰鬱な話を延々と聞かされ、気がつけば数時間が経っていました。時刻はすでに午後3時に近く、開店前の店内も少しずつ慌ただしい雰囲気を帯びてきたため、その日は事情を聞くだけに留め、具体的な調査とお祓いについては翌日以降に持ち越すことにしたのですが…。

帰りがけに問題の賃貸マンションの外観を見たところ、一目で敷地に異常があることが分かりました。地形、地下水脈、あるいはそうした自然条件とは別の何かが影響して、その場の地磁気に乱れが起きているようで、それによって生じてしまった俗に霊道と呼ばれる特殊なエネルギー帯が建物を取り巻くように交差しているのが見えたのです。この霊道はマンション内の空間をかなりの割合で侵食しており、霊能者がよく指摘する「霊が見えてしまう場所」の典型のような環境が形成されていました。こういう場合、建物を侵食する霊道が各居室や共用スペースを貫く形になっていれば、霊感の強い居住者が地縛霊や浮遊霊を目撃する確率は高くなりますし、たとえ霊感が皆無の人でも体調や精神面の不調などが起きやすくなります。

濃密な霊気を放つその外観を見回せば見回すほど、すぐにでも状況の詳細を調べずにはいられなくなりました。そこでいったん料理店へ引き返し、Dさんにその旨を告げたところ、当人の代わりに秘書役の男性が案内してくれることになりました。

夜昼かまわず、誰かが屋上を走り回る!?

オートロックの玄関を抜けると、その先には管理人室、向かい側には居住者用のポストが並んでいたのですが、事前の聴き取りに違わずネームプレートの約半数は真っ白でした。

「ここの部屋数はどれくらいですか?」

「10階建てで1階以外の各フロアに4室ずつあります」

「どこかの階の空き部屋を見せていただくことはできますか?」

「ええ、もちろん。なんせ、空き部屋だらけですからね」

男性秘書は自嘲気味に笑うと、住人が前週に退去したばかりだという最上階の一室を見せてくれました。

そこはフロアの突き当たりに位置する角部屋で、しかも東と南の方向に面しているという好環境だったのですが、直近の店子は入居後わずか3ヶ月で退去したと聞きました。

「たしか看護師をしているっていう30代の女性だったんですけれどね、引っ越して来てから1ヶ月目くらいの時期に初めのクレームが入りました。『夜昼かまわず、屋上を走り回る音が響いて眠れない』っていう苦情だったんですが…」

屋上へ出る建屋のドアは常時施錠されており、その鍵を持っているのは日勤の管理人のみ。その管理人が午前中に定時の見回りをする他は、ほとんど開けることはない、というのです。

「電気通信系統の制御盤や貯水タンクなんかは全部1階の裏手に集中していますから、その手のメンテで屋上へ立ち入ることもほぼないんです。まあ、強いてあるとすれば地デジのアンテナ関係ですが、そっちの方も『テレビの映りが悪い』とか、そういう特別な苦情がなければ業者に連絡することすらありませんし」

「なるほど。それで結局、その看護師さんは天井からの騒音に絶えきれずに出て行った、ということですか?」

「いや、最後の方はご多分に漏れず、アレの姿を見ちゃいましてね。昼過ぎに病院の夜勤から帰ってきて、薄暗い部屋のカーテンを開けたら、ベランダのすぐ外に逆さ吊りになった女が浮かんでいたそうです。口止め料代わりに敷金礼金を全額返済したんですが、どうなんでしょうかね。あの一件でまた悪い噂が広がったんじゃないかと。あっ、社長(Dさんのこと)に無断で余計なことまで話しちゃいました。どうか、僕が話したってことはご内密に…」

マンション内を霊道が貫き、自殺霊の溜まり場のような有様に…

外観からの予測に違わず、その1DKの室内はかなりの割合が霊道の異空間に侵食されていました。そこに漂っていた存在も大方の目撃証言通りで、大半は地縛霊化した自殺者たちの霊魂だったのですが、試しに彼らとの交信を試みたところ、先刻の店内での状況とは打って変わり、単純な受け答えぐらいはできるようでした。

自殺霊たちは口々に生前の後悔や恨み言を漏らし、そのほとんどは支離滅裂な内容だったのですが、ただひとつ全体に共通していたのは、「見えない力に抑え込まれ、この場所から動くことができない、縛り付けられている」という悲痛な訴えでした。つまりこれは、彼らを成仏させず現世に留めておく何か特殊な磁場の働きがあるということを意味しました。

また、地縛霊に混じって人の形を成さないアメーバーのような黒い影も見え、これはかなり手強い相手でした。まずこの黒い影たちは、透視する私に対して強烈な敵意をぶつけてきました。そこで試しに霊道へ向かって「祓いの念」を投じてみると、一時的に消滅するのは自殺者の霊体ばかり。影にはまるで効かなかったのです。おまけに意思疎通を図ろうとすると、こちらは相手の想念が読み取れないままなのに対して、向こうは私の行動や想念を含めた全ての事柄を把握しているようで、最後には嘲り笑うような素振りさえ見せてきました。

もっとも顔形すらはっきりしない霊なので、そういう波動を感じたというだけのことなのですが、一般的な人霊や残留思念とは明らかに異質の存在であると察しました。

(もしかして、式神や自然霊の類いだろうか?また、そうなると何かの呪詛が絡んでいる?)

湧き上がった疑念に確信が持てぬまま、私は「屋上へも上がらせて欲しい」と頼みました。

屋上から四方の風景を見渡した霊能者。「これは何かの結界かもしれない…!」

その日は天気が良く、屋上から四方の風景が遠くまで見渡せました。ここで私が見た地形の描写も含めて日本料理店と賃貸マンションの位置関係などを簡単に記します。

まずお店の方は鉄道駅まで続く大通り沿いの角地にあり、目の前は四つ辻の交差点、そして店の正面のすぐ隣が駐車場の入口でした。この駐車場は店舗の建物を三方から取り囲む形で南側の奥まで続き、そこから細い私道を隔ててマンションの建物と敷地が続いていたのですが、さらにその敷地に付属するような形で低い灌木の茂みが広がっていました。見たところは荒れた庭の跡とも天然の藪とも判断がつかない少々、不自然な一画を形成しており、仮に誰かの屋敷跡の庭であればそれらしい痕跡が残っているはずなのですが、柱や土台の跡すら見当たりませんでした。そして茂みのすぐ向こうには、すぐにまた何の変哲もない街路が伸びているだけなのです。

傍らの秘書男性に「あそこの藪は?」尋ねると、「ウチの会社の所有地はマンションの敷地までで、あの茂みの辺りは含まれていません」とのことでした。そこで藪の件はひとまず置き、あらためて周囲の地勢に目を凝らしました。

屋上からの眺望を通して、地域一帯の自然の気の流れが把握できました。遠方に連なる山並みから来る地脈(地磁気のエネルギーの流れ)が丘陵を降りて市街まで流れ込み、その脈の結節点と思しき地点には寺院や神社が点在しており、問題の霊道もまたこれらと同じ自然の気のパワーによってその霊的な磁場が保たれているようでした。加えてそのエネルギーの発露はマンションの敷地内よりも、むしろその先の灌木の茂み付近で顕著に感じ取れました。一連の心霊騒動に人為的な力の介在を察知したのは、もまさにこの瞬間でした。

(もしかしたら霊道を含めたこの一帯の特殊な磁場は、何かの結界の名残りなのかもしれない…)と、そんな直感が閃くとともに、問題を解決するための重要な糸口を掴んだような気がしました。

思い浮かんだ考えを頭の中でまとめながら眼下の光景を眺め続けていると、折しも私が注目した藪の中へ無造作に分け入っていく人影が見えました。遠目に分かったその姿は70代過ぎの高齢男性で、作業着のような青い服に麦わら帽子を被り、草刈り用のカッターを手にしていました。

「ありがとうございます。社長には数日中にこちらからご連絡いたしますので、その旨をお伝えください」

そう告げて頭を下げると、マンションの屋上を足早に離れました。

【後編へ続く】