霊媒師・イタコとは ~陸奥鑑定所の霊能者たち~
インタビュー:その18「鹿敷先生」
不倫恋愛は本当に悪いことなのか
聞き手「鹿敷先生の占い鑑定は不倫恋愛で悩める方にとりわけ御評判とのお話をお伺いしています。不倫恋愛に関する悩みを鑑定する際に心がけていることはありますか?」
「第一に、不倫はよくないことです。これはどんな理屈をこねても変わりません。不倫は結婚という誓いを立てた相手に対する裏切りであり、悪事です。そして第二に、不倫をされている方はそれを充分にわかっています。第三に、不倫の悩みで電話をかけてこられる方は“それを充分に分かった上で苦悩している状況”です。ですから、それを鑑定する霊能者はこの三つの事柄をすべて前提の上で対応しなければなりません」
聞き手「わかっている相手に当然のことを話さないようにするということでしょうか」
「そうですね。たとえば不倫関係から抜け出せずに悩んでいる方に『不倫は良くないことです。やめましょう』と言ったところで、そんなことはわかっているのです。わかった上で、自分の気持ちや良心の呵責、相手の態度などで心を痛めているのです。頭ごなしに否定することは霊能者である以前に悩み相談を聞く者として一番やってはならないことです」
聞き手「今はただでさえ不倫に対して風当たりが強いご時世ですからね」
「芸能人の不倫スキャンダルなどを知ると鬼の首を取ったように悪く言う方が多いですね。実際、不倫は良くないことですが、それ以前に人と人との関係の一つの形であり、そこには必ず当人同士にしか分からない背景が存在します。例えば、ある方が不倫してしまったとします。男性でも女性でも構いません。それ自体はよくないことです。しかしその背景に『結婚相手から精神的に追い詰められていて逃げ道が欲しかった』という事実があったらどうでしょう。」
聞き手「一概に善悪だけでは判断できませんね」
「もちろん、不倫関係がその方のためにならない、抜け出さなければ幸せな未来は訪れない、という鑑定結果が見えたのであれば、そこはハッキリと言います。だけどそれは一般論ではありません。『あなたは関係を終わらせることで幸せになれるのですよ』という、その人に向けてのアドバイスです」
聞き手「不倫関係の先にある幸せも否定はしないのですね」
「悪いことでも必要なことはあります。例えば盗みは悪いことです。これはどう理屈を練っても変わりません。飢えてお腹を空かせた宿無しの子供がいたとしましょう。その子が今日を乗り切るためにどこかから食べ物を盗んだとします。それを『悪いことだからやめなさい』『取ったものを返して罰を受けなさい』と咎めることはできますか? 私にはできません。私たちにとって重要なのは、食べ物を盗む子供を罰することではなく、盗まなくても生きられるようにすること」
聞き手「善悪だけでは判断できないこともありますね」
「その通りです。今の現実を生きていくためにどうしても相手が必要というのであれば、私は否定しません。まず大事なのはその人が今を乗り越えること。そして生きていくこと。不倫関係の先に幸せがあったとしても、私は今の関係を否定することはいたしません。現在と未来。全てはそこです。未来の可能性には当然、関係の清算も含まれていますし、現状のままの関係を維持する選択も、または全てを捨てて相手を選ぶ略奪愛も含まれています」
聞き手「鹿敷先生の人気の秘訣がわかった気がします」
「誰にも言えない悩みを抱えて今にも押しつぶされそうな人は、そうなる前にぜひ私に問題を打ち明けて下さい。私の鑑定を経て、現在の状況を受け止め、幸せな未来に向かえるようにいたします。ぜひ遠慮なくお電話くださいませ」