本当にあった心霊話
第四話 いわくつきの家具
[体験者] 千葉県千葉市・相澤彩音さん・24歳・アルバイト
彩音さんがリサイクルショップで見つけた北欧風の素敵なアンティークラック。値札の横には「難アリ」の文字。「下の引き出しの片方が開かない」と店員に言われるも、気にせず購入したところ、その夜……。
ひとり暮らしのフリーターの私。そんなにお金がない自分にとって何かと便利なのが近所のリサイクルショップで、家具や電化製品が欲しい時にはよくそこに行って中古品を物色していました。そのお店は駅から自宅まで歩く途中にあったので、ただなんとなく売ってるものを眺めているだけでも楽しいんですよね。一週間に一回くらいはそこに足を運んでいます。例のアンティークラックを見つけたのもそのリサイクルショップでした。
そのラックは北欧風の素敵な雰囲気で、私の趣味にどんぴしゃ。値段もかなりお手頃だったので「これ欲しい!」とすぐに思いました。でも値札の横に「難アリ」って書いてあったんで、気になって、顔なじみの店員さんを呼んでみたんです。よく利用していて店員さんともそれなりに仲がいいので、「この難アリって何ですか? もしかしていわくつきってことですか?(笑)」なんて気軽に聞いてみました。そしたら「いやそんなヤバいもんじゃないですよ(笑) ただ、下にある引き出しの片方だけ、鍵がなくて開かないんですよ」と説明してくれました。なんだ、その程度ならいいや、って思って、私はそのラックをすぐに購入しました。
家に持って帰って、部屋に置いたらやっぱり素敵なラックで、すぐにお気に入りになりました。確かに下段の引き出しの片方だけ鍵が掛かっているみたいでどうやっても開かないんですけど、まあ別にいいかなって感じでした。でもその日の夜、部屋の明かりを消してベッドに入ってしばらく経った頃、そのラックから「カタカタ、カタカタ」という妙な音が聞こえてきたんです。
最初はラックの立てつけでも悪いんかと思ったんですけど、耳を澄ませてみると、そのカタカタという音は、開かない引き出し出ているみたいでした。急に怖くなった私は電気をつけ、その開かない引き出しの中に何が入っているのか、むりやりこじ開けることにしました。力任せに引き出しを引っ張ると「バキッ!」という音と共に木板が壊れ、その引き出しが開きました。中には一枚の写真が入っていました。知らない家族の集合写真でした。真ん中に車いすに座った病弱そうな女の子が座っているのが印象的で「もしかしてこのラックの元々の持ち主はこの子だったのかな」となんとなくわかりました。
申し訳ないんですけどちょっと薄気味悪かったので、写真は近所の神社に持っていって、神主の方にいくらかお包みして供養してもらいました。それ以来、特に変わったことは起きていません。壊した引き出しは接着剤で修復しました。そのラックは今も使っていますが、あれからカタカタという音は一度も聴こえてきません。
この件は購入したアンティークショップの店員さんにも報告しました。「夜中にカタカタ音がするから開けてみたら中に写真が入ってましたよ! やっぱりいわくつきじゃないですか!」って言ったら、「ああ、そうだったんですね。すいません」って謝られた後「このリサイクルショップ、夜中は大体なんか変な音がしますよ。誰も居ないのに声が聴こえてくることもありますし。やっぱり中古品には念とか籠もってるんでしょうね~」なんて笑いながら言っていました……。
霊能者による検証コメント
いただいたご報告を元に霊視してみましたところ、そのラックの元の持ち主はやはり車いすの女の子でした。引き出しの中に映っていた写真に映っていた彼女に間違いありません。そして女の子はもうこの世にいないことが分かりました。彼女はもともと病弱で、ずっとふさぎ込みがちだったそうですが、一度だけ家族旅行をしたことがあり、写真はその時のもののようでした。彼女はその時の家族写真をアンティークラックの引き出しにしまい、鍵を掛けて大切に保管していたようです。カタカタと音を立てていたのは彼女の霊のしわざ。「写真を見つけてほしい、引き出しから出して欲しい」と願っていたようで、彩音さんは彼女に導かれるように、希望通りのことをしたようです。現在の彩音さんは特に何も問題ないようですね。結果的に良いことをしたので、運気が上昇している状態のようです。
なお、リサイクルショップで売っている中古品には、こういったものがよくあります。基本的に、中古品には大体、前の持ち主の念が多かれ少なかれ染み付いていますが、中には「前の持ち主が亡くなって、親族が遺産を処分することにして、売りに出された」といった過程で出回っている物もあり、悪い念がしみついた商品も中には存在します。そういったものは大体、人から人へと渡り「いわくつき」であることが判明するので、あまり恐れる必要はないかもしれません。しかし、霊や念が人を引き寄せ「なぜかすごく欲しい」「何としても手に入れたい」と思わせることもありますので、あまり得体の知れないものを気軽に購入するのは控えた方がいい、と言えるでしょう。