第十話 からみつく因縁

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本当にあった心霊話

第十話 からみつく因縁

[体験者] 埼玉県和光市在住・進藤秋菜さん・31歳・会社員

お盆を目前にして墓掃除に出掛けた祖母と大叔父が、続けざまに急病で倒れた。その原因に心当たりがあると言う父親と共に、家の墓がある霊園へ向かってみると……。

からみつく因縁

「お祖母ちゃんがお墓で倒れた!」その報せが私の許に届いたのは月曜日の朝、いましも出勤しようという時刻でした。電話で知らせてくれた母が「危篤」という言葉を使ったのでとても焦りましたが、何とか平常心を保っていったん会社へ向かい、課長に事情を話して午前中に早退させてもらいました。そしてその足ですぐ実家へ戻り、父の運転する車で祖母が運ばれた病院へ向かったのです。

母が連絡を寄越した時には今にも亡くなるような口振りだったのですが、その後、持ち直したと聞いて少し安心しました。ゲートボールが大好きで、何より健康が取り柄だった祖母。それが一体何が原因で倒れたのかと訊ねると、父が状況を説明してくれました。

「お盆が近いからさ、親戚連中がお参りにくる前に墓の掃除がしたいって言われて、それで今朝早く、バアさんを乗せて霊園に出掛けたんだよ。そんときゃ、すげえ元気だった。けれど桶に水汲んで来てくれって頼まれて、離れた水道の方へ行って戻ってきたら、片手にホウキを握り締めたまま、墓石に突っ伏すようにして倒れていたんだ」

慌てた父は祖母を病院まで運んだそうです。診断した医師の話によれば、急性の心臓発作だろうとのことでした。

「お祖母ちゃん、前から心臓が悪かったの?」「いや、そんなことはないだろう。ついこの間、かかりつけの医者のとこで検査したばかりで、その時はどこも異常がないって言ってた。俺も母さんも、どうして急にこんなことになったのかと首をひねるばかりでさ……」そうこうするうちに病院へ到着し、祖母がいる病室に向かうと、本人は天井を見つめながらベッドに寝ていました。

「秋ちゃん、ごめんね。心配しただろ?」祖母は私の手を取り、済まなそうな表情を浮かべました。「ううん、そんなことないよ。大丈夫そうで良かった」「お墓の石を磨いてたら、急に胸が苦しくなってね。あたしももう歳だねぇ」と、そんなとりとめのない会話が続きました。

祖母の加減を見た父母も安堵し、直後に精密検査があるというので、私たちはいったん家へ戻ることにしたのです。しかし去り際、祖母はいきなり私のスカートの裾を掴み、急に真剣な面持ちになって言いました。「う、うちのお墓のね……」「うん、どうしたの?」「いや、何でもないよ。きっと私の思い過ごしだね」顔を顰めながらそうつぶやき、もう行きなさいと手振りで追い立てられました。

その後、祖母は順調に回復し、1週間ほどの入院で家に帰ることができました。母からの連絡でその様子を聞かされた私は胸を撫で下ろしていたのですが、今度は思わぬところから危篤の報せが入りました。

「和雄さんが仕事中に倒れた!」

和雄というのは、今は亡き祖父の兄弟の一番下の弟。私に取っては、大叔父に当たる親戚です。それが会社での勤務中にいきなり椅子から崩れ落ち、意識不明の重体に陥ったというのです。父から連絡が入ったのが深夜で、翌日の朝には「亡くなった」という続報が届きました。死因はクモ膜下出血で、倒れる前日の日曜日、単身車で本家、つまり私の実家のお墓参りに出掛けていたことも分かりました。

その話を聞き、不気味な符合が頭に浮かびました。「お祖母ちゃんも大叔父さんも、お墓参りに行って倒れている……」同じ思いを持ったのは、私だけではありませんでした。和雄さんの葬儀に出席するために上京した父が、私の顔を見るなり、「うちの墓に何かあるような気がする」と言い出したのです。

「何かあるって、つまりどういうこと?」「いや、上手く説明できないが、実はちょっと気懸かりなことがあるんだ。明日、帰りがけに車で確かめに行ってみるから、秋菜も付き合ってくれないか?」「気持ち悪いから嫌だよ……」「俺だって嫌だよ!けれど、これも本家の長男の役目なんだ。仕方ないだろ!おまえも俺の跡取り娘なんだから、一緒に行く義務があるんだぞ!」そんな訳の分からない理屈を並べ立てられて結局、同行することになってしまいました。

父が運転する車に乗って我が家の墓がある霊園に着いたのは、翌日の午後2時過ぎでした。お盆を翌週に控えた敷地内はまだ閑散とした状態で、墓参客の姿はほんの数えるほどしか見掛けませんでした。おまけに私の家の墓がある区画は霊園内のかなり隅のエリアにあるため、日差しの強い昼下がりにも関わらず、とても物寂しい雰囲気が漂っていました。蝉の音に煽られながら林立する墓石の間を歩き、やがて我が家のお墓の前に立つと、その異変を調べるより先に隣の家のお墓の惨状が目に飛び込んできたのです。

そこは長い期間にわたって放置されているようで、墓所の全面に雑草が生い茂り、墓石の半ばまで埋もれている状態。元々は黒御影造りの立派なお墓のはずなのですが、表面に溜まった埃が泥のようになってこびりつき、薄汚いまだら模様を描いていました。さらに下方に目を落とすと、香炉や墓誌の端が少し欠けている様子まで窺えました。

「お隣のお墓、酷い有様だね」「ああ、去年からずっとこのままなんだよ。おまえ、滅多に墓参りに来ないから知らなかっただろう」「うん。これ、手入れする人とか、いないのかな」「さあな、他人の墓の事情は分からんしな。ただ霊園の管理事務所にそれとなく聞いた限りじゃ、年に何度か除草しているってことらしいんだ」「じゃあ、ここだけ草が生えるスピードが異常に速いってこと?」「だからさ、俺には分からねえって言っただろ」親子でらちのあかない問答を続けながら、父はおもむろにお墓の裏手に回りました。そして「うっ」と呻くなり、黙り込んでしまったのです。「どうしたの?」不審に思って問い掛けた私に、父は震えながら前方を指差しました。

「バアさんがあんなことになっちまって結局、掃除できなかったもんだからさ、代わりにおじちゃん(和雄さんのこと)に頼んだそうなんだ。で、墓からの帰りがけにおじちゃんが家に寄った時にな……」隣の墓から伸びた蔓草の先端がこちらの敷地まで達し、それが竿石の裏に差した卒塔婆にギッチリとからみついていた、と言っていたそうです。それを見つけた大叔父は、きれいに取り除いてくれたはずなのですが……。

それから3日と経たぬうちに新たに伸びた蔓が、卒塔婆から塔婆立てにかけてグルグルにからんで葉を広げているのが見えました。「き、気持ち悪いっ」「あの日、バアさんもコレ見て急に気分が悪くなったらしい」「何ていうか、隣の家の因縁がウチにからみついてきているっていうか」「おまえもそう感じるか。俺もだ」しばらくの間、私たちは青ざめた顔を見合わせていました……。

霊能者による検証コメント

今回ご紹介したお話は、昨年、私の許に寄せられたご相談の内容を手記の形にまとめ直してもらったものです。この直後、体験者の秋菜さんは原因不明の病で2週間近く寝込んでしまい、体が動かせるようになった時点でのご相談となりました。

話の概要を伺って遠隔霊視したところ、まず問題の隣家の墓については、それを守る一族がすでに全滅しているという驚愕の事実が見えました。事故や災害、一家心中などによるものか、あるいは何らかの事件に巻き込まれたのか、残念ながらその辺は明らかにはできず、後日、ご相談者自身も墓標に刻まれた家の苗字を頼りにお調べになったそうですが、やはり特定することはできなかったようです。ただし同じ血統の人間たちが、歯が欠けるように次々と亡くなっていくイメージが強く出ていましたので、子孫の病死や自然死が続いて次第に家が絶えていったのではないかという推測は成り立ちます。

いずれにしても無縁仏となってしまった一族の霊が、たまたま隣にあった墓の主を頼ったのがこの事件の真相であることは、ほぼ間違いありません。そこで力のある霊能者あるいは寺院の僧侶などに依頼して、できるだけ速やかに浄霊してもらうこと、さらにその際は隣の墓まで供養するのではなく、進藤家にこれ以上の被害が及ばぬように結界を張り巡らせる形に留めるよう助言させていただきました。

意外に思われるかもしれませんが、こうしたケースで根本的な供養などをしてしまいますと、相手の家系の霊がなおさら頼ってくるという現象が起きやすくなります。そうなると本来は縁もゆかりもない進藤家が、隣の墓の家系にまつわる因縁を丸ごと背負う羽目にもなりかねないので、くれぐれもご注意くださいと念を押しておきました。

こうした微妙な匙加減は、専業の祈祷師や霊能者でもなかなか分かりにくいところがあるのですが、幸い現地には密教系の優れた修行者がいらしたようで、この人物に依頼して滞りなく事が済んだとのご報告をいただきました。

この件に関わって不幸にも亡くなられてしまった大叔父様には、心からのお悔やみを申し上げます。しかしその後は進藤家の皆様に新たな異変は起きていないとのことで、お墓参りも平常通りなさっておられるとお聞きしています。