第二十四話 マリーちゃん

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本当にあった心霊話

第二十四話 マリーちゃん

[体験者] 東京都品川区・田口香奈枝さん・24歳・会社員

先日、友達の紹介で電話占い陸奥の先生に占っていただきました。素晴らしい鑑定で胸のつかえが取れました。ありがとうございます。先ほど「本当にあった心霊話」というコーナーを見つけましたので、私の経験した心霊体験談を投稿させていただきます。もしよろしければ、掲載していただけると嬉しいです。よろしくお願いします。

マリーちゃん

以前バイトしていた個人経営のバーに、古い人形がありました。少女の姿をしたビスクドールで、以前オーナーさんが古物商から買ってお店に飾っているものとのことでした。そして、人形には霊が宿っていると言われていて、バイト仲間や社員の人の間でも有名でした。普段は棚の高い位置にあって、誰も触らないのですが、いつの間にか勝手に向きが変わっていて、カウンターのほうを見ていたり、フロアのほうを見ていたりするのです。でも、特に実害はなかったのでみんな気にしていませんでした。それどころか「マリーちゃん」という名前をつけて、マスコットキャラのような扱いをしていました。

その日は、私のほかにバイトに入っている子がいなくて、開店から閉店までずっとマスターとふたりきりでした。幸い平日で、雨が降っていたこともあり、それほど忙しくもなく、なんとかふたりで回せる程度でした。午後11時半を回り、最後のお客さんも帰り、じゃあそろそろ閉店準備に取り掛かろうか、という時でした。マスターは裏手で今日の売上をパソコンに入力する作業をしており、ホールには私ひとりきり。机を拭いたり、調味料やナプキンを補充したりしていた時、そのマリーちゃんが目に入りました。マリーちゃんは横を向いていたのですが、その首が急にグリンと回り、こっちを向いたのです。マリーちゃんは確かに私を見ました。ただ無表情な瞳で見ているだけでしたが、常識では考えられない現象に背筋が寒くなりました。

とても怖くなって、マスターのいるバックヤードの部屋に逃げ込んで、「マリーちゃんが急に動いた!」と言うと、マスターは「今日はあんまりお客さんが来なかったから寂しかったのかもな」と、何事もなかったかのように言ったんです。夜中にひとりで作業をしていてマリーちゃんが動くのは日常茶飯事だから、もうそういうものとして慣れた、とのことでした。確かに首が勝手に動く程度なら、実害はないし、そういうものと言われればそれまでなのですが……。臆病な私はそれ以来、マリーちゃんをあまり見ないようになりました。

マリーちゃんの中にいるのは良い霊らしく、お店が繁盛すると機嫌がよくなるらしいです。バイト仲間にひとり、霊感があるという子がいて、そう言っていました。彼女曰く、わたしはマリーちゃんにあまり気に入られていないそうでした。あの日、こっちを向いたマリーちゃんを怖がったからかもしれません。それからしばらくして、バイト仲間同士の人間関係で居心地が悪くなり、私はそのバーを辞めました。のんびりとしたお店で、同僚たちの仲も良い職場だったのですが。もしかしたら、私のことを気に入らないマリーちゃんが、私がいなくなるようにしたのかもしれません。

霊能者による検証コメント

人形に霊が宿るのは日常茶飯事です。特に、精巧なビスクドールや日本人形のようなタイプのものには、簡単に霊が宿ります。霊も人型の物を好む性質があるのです。これを利用して、人形は呪術や魔術に多く用いられます。

バーに飾ってあった古いビスクドールに霊が宿っていた、とのことですが、それはおそらく、そのバーの守り神的な存在と化していたことが推測されます。霊にもさまざまな性質がありますので、たまたまその人形にそういう性質の霊が宿り、お店や場所に愛着を持ち、それを守ろうとしていたのかもしれません。そういった霊に気に入られれば、運気に恵まれたり、人間関係で良いことが起こったり、恩恵がもたらされます。ただ、ご相談者様が「怖がってしまった」というのは、おそらく霊にとって悪印象だったのでしょう。

目の前で非科学的なことが起こった際、それに驚き、怖く思うのは仕方のないことです。しかし「この世には人間の常識では計り知れない存在がいる」ということは、今後、念頭に置いておくと良いかもしれませんね。