お腹の子供を襲う一族の呪いのお話/イタコが語る壮絶な縁切り相談(2)

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イタコが語るコラム・エッセイ

イタコが語る壮絶な縁切り相談(2)

お腹の子供を襲う一族の呪いのお話

イタコが語る壮絶な縁切り相談(2)

今からお話するのは、もう今から8年ほど前に鑑定させて頂きました方のお話です。

相談者は新婚の女性。電話を受けた瞬間、受話器越しに幸せそうな家庭の念が流れ込んできたのを覚えています。しかも、女性のお腹の中には小さな命の波動が感じられました。どうやら相談者の方は子供を妊娠しているようです。まさに幸せの絶頂といった雰囲気でした。ですが、私はすぐさまその雰囲気が“どこかおかしい”ことに気付きました。幸せそうな念の中に、ほんのわずかな、ですが確かな“悪意”が感じられたのです。肌にまとわりつくような……この世のものではない“悪意”でした。並大抵の霊能者であれば気付かないほど小さなものでしたが、霊感を凝らしてみると、まるで闇の奥から恨みを込めて見つめているような、背筋がゾッと寒くなるような、おぞましい“悪意”でした。

この“悪意”……ひとつだけ心当たりがありました。“呪い”によるものです。しかもこのようなおぞましい“悪意”は、おそらく本人ではなく、一族に込められたもの……。実は私、まだ師匠の元で修行をしていた頃、一度だけこの“一族の呪い”に関わったことがありました。その経験のお陰で、私は瞬時に正体を察することが出来ました。一見、とても幸せそうな彼女。そんな彼女が鑑定の電話を掛けてきた理由は、それ以外にありませんでした。

長男が7歳までに必ず死ぬ呪い

「あなたの悩みは“一族の呪い”ですね」相談者の真摯な悩みに対して歯に衣を着せる必要はありません。私はハッキリと彼女に告げました。すると電話の向こうで息をのむ気配があり、その後「やはりイタコの方にはすぐ分かるのですね……」という声が聞こえてきました。

彼女の実家は、元を辿ると由緒正しい武家の家系。そして「長男が必ず早世する家系」でした。それまでどれだけ元気な子供でも必ず7歳を前にして逝ってしまうのです。死因は様々でした。ある子は病を患い……またある子は交通事故に遭い……まるで皆、命の灯火の長さが定められているかのように、必ず7歳になる前に逝ってしまうのです。これは紛れもなく“一族の呪い”でした。

「先日、超音波による性別判別で、お腹の子が男児であることが分かりました。“呪い”なんて、そんな非科学的な物は今まで全然信じてこなかったのですが、いざ自分が身籠ってみて、初めて本当に怖くなったのです。『もしお腹の子に“呪い”が振りかかったら……』そう考えると、本当に恐ろしくて、震えが止まらなくなりました」

私は霊感を凝らし、彼女の“因縁”を紐解いてみることにしました。

呪いの主が告げる悲しい因縁

なんと“呪い”は6代前まで遡るものでした。ある藩に仕える武士だった彼女の先祖は、ある日、酒に酔った勢いで喧嘩騒ぎを起こし、一人の男を刀で殺めてしまったのです。瀕死の男は「お前の家を末代まで呪ってやる」と言い残し、呪いを掛け、事切れました。男の恨みは非常に強く、それゆえ彼女の家系はそれ以降、長男が早死にするようになったのです……。

ですが、それも6代前のこと。例えどれだけ強い呪いであっても、代が替わり血が薄まるにつれて、効力も薄まり、7代が過ぎる頃にはほぼ無効化されるものです。そしてちょうど彼女のお腹の子は7代目……。“もしかしたら、お腹の子に掛かった呪いを解くことが出来るかも知れない”そう思った私は、意を決し、呪いの主である“悪意”を心の中に降ろし、対話することにしました。

呪いの主は、既に実態を伴わない悪意の塊と化していました。当初、私の問いかけにも「恨めしい」「呪ってやる」という意志しか返しませんでした。ですが何度も問いかけ続けた結果、ようやく主の“魂”が少しずつ反応を見せるようになったのです。主は、自分には産まれたばかりの子供と妻がいたこと、そして、本当に無念で恨めしかったことを告げてきました。私は呪いの主の悲しい想いを汲み取り、懸命になだめ、彼女の一族がもう何代もの間苦しみ続けたこと、またこれ以上呪っても意味がないことを告げました。また繰り返し「どうか彼女のお腹の中の子供は見逃してあげて欲しい」とお願いしました。そして……どうにか呪いの主を説得することが出来ました。

「終わりましたよ。もう大丈夫です」

降霊術を終え疲弊した身体を奮い立たせながらそう告げると、受話器越しにすすり泣く声が聞こえてきました。安堵のあまり泣き出してしまったのです。私はしゃくり上げる彼女に事の顛末を伝え、もう心配しなくていいこと、お腹の子は無事に育っていくことを、優しく伝えました。

因縁切りで訪れる幸せな未来

あれから8年が過ぎ……先日、私の元に一通の手紙が届きました。彼女からでした。封筒を開けるとまず一枚の写真が出てきました。そこには、ひとりの優しそうな中年女性と元気そうに笑う小学生の男の子の姿が映っていたのです。手紙はお礼の言葉で埋め尽くされていました……。

あの時彼女に憑いていた呪いの主はおそらく地獄に落ちたことでしょう。本来であれば呪いの主は全く罪のない方でしたが、成仏せず、何代も人を呪い、災いをもたらし続けた行いは、決して軽いものではありません。ですが、彼は最後に少しだけ“許し”ました。その行いは、必ずや彼自身に救いをもたらします。彼の魂を襲う責め苦も、少しだけ緩やかなものになるに違いありません。そして期間を終え、彼もまた、新しい命として生まれ変わるのです。

世の中には、こういった先祖にまつわる悪い因縁も決して少なくはありません。ですが、我々イタコの仕事は、死者の魂と触れ合うこと。どれだけ悪い因縁も、その原因を必ず突き止め、断ち切り、救いの手を差し伸べて差し上げます。悩みをお抱えの方は、諦めてしまう前に、ぜひ私ども、電話占い陸奥のイタコ達にご相談下さいませ。どのような悩みも必ず解決して見せましょう。