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呪いにまつわる恐ろしい話

第3回 首吊り自殺が連鎖する場所 【前編】

店の中を女の幽霊が走り回るんです!凄まじい形相で髪を振り乱して…

「自分の所有地に幽霊が出る」という悩みを受けて、某地方の事業家の許へ赴いた霊能者。そこで目の当たりにしたのは、土地が発する特殊な霊気の作用で長期間に渡って残存し続ける自殺霊たちの姿だった。その土地にまつわる因縁の糸をたどるうちに、街中の一区画全てを覆う大掛かりな呪詛の存在に気づき…。

「複数の自殺霊が引き起こした心霊現象。じつはその裏には別の要素が潜み…」

首吊り自殺が連鎖する場所

これから書き記す内容は、かれこれ20年くらい前の出来事です。当初は「生きている人間に悪さをする、地縛霊を除霊する仕事」として受け止めましたが、仔細を調べていくうちに複雑で遠大な背景があることが分かりました。その背景とは呪術儀式に関することで、しかも誰かが誰かを呪うといった個人的な対立に還元される相談とは様相が異なっていました。そこでひとつの鑑定事例として面白いのではないかと考え、この場を借りて紹介させていただくことにしました。

事の発端はある人物から依頼です。その方が経営している飲食店で困ったことが起きているとのことで、それ以上はいくら訊いても具体的な説明はしてもらえませんでした。そこで少しでも目星を付けるため、「売り上げや従業員に関する悩み事ですか?」とカマを掛けてみたところ、「いや、違います!そんなありきたりのことじゃないんですよ!」と今度は声を荒げてきたのです。ああ、これは相当、精神をすり減らしているな…と察し、電話口で根掘り葉掘り聞くことは止めて、取りあえず依頼者の元へ伺うことにしました。

霊会うなりこちらの霊能力を試してきた依頼客

現地で対面したのは50代半ばの恰幅の良い男性で、苗字の頭文字はD。県内でこの姓を名乗る家は元々、江戸時代初期まで地元を治めていた戦国武将D氏の系統から分かれているケースが多く、その場合は資産家や大地主と相場が決まっているのですが、本人に確かめたところやはりD家傍流の子孫の1人であることが分かりました。

当日の対面場所は、問題が起きているという街中の和食レストランの店内でした。その日はランチの休業日とのことで、それに合わせて正午前に伺いました。なお店内の構成は、天井が高くがらんとした空間にはテーブル席が30席ほどあり、その他に20人ほどが座れるカウンター席、そしてその奥が厨房という造りでした。

都心はいざ知らず人口の少ない地方都市で、これだけの経営規模を維持するというのは並大抵ではありません。「なかなか遣り手の商売人だな」と感心したものの、その手のタイプにたまにいる、厄介な性格も持ちあわせた人物でした。

名刺を交わしてテーブルに着くなりDさんは、「先生、この店の中を見てもらっただけで、何をお願いしたいのか分かりませんかね?」と、こちらを値踏みするような、冷ややかな眼差しを浮かべました。

「じつは先生の前にも、頼んだ人間が3人いるんです。最初は女房が昵懇(じっこん)にしているお寺の住職さん、次がイタコだと自称していた年寄りのオッサン、最後は何だっけかな…まあ、似たような拝み屋の類いです」

「その中の誰も、あなたの悩みを解決できなかったんですね」

「ええ、口を揃えて『これ以上は、自分の手には負えない』ってね。オタクの業界の決まり文句なんですかね。じゃあ、誰に頼んだら良いのかって話ですよ。また金だけ取られて解決できないんじゃ、こっちも堪りませんからね」

その横柄な態度と言動にたちまち嫌気が差しました。こういう依頼人は仮にトラブルが解決できたとしても、料金の問題などで揉めるのが常です。また他にも多くの案件を抱えていた時期だったので、「お断りします」と席を立つこともできたのですが、強がるDさんの顔には苦悩と焦燥が色濃く窺われました。追い詰められた状況にあるのは一目瞭然。同情するほどの思い入れはありませんでしたが、その店を含めた周辺の近隣にただならぬ気配を感じたこともあり、「これも人助け。修行の一環」と大所高所に立ち、もう少しだけ留まることにしました。

「しばらく時間をいただけますか。お店の中を勝手に歩き回ってもよろしいでしょうか?」

「ご随意にどうぞ」

トイレにぶら下がる首吊り霊!店内を走り回る謎の女の影も…

許しを得ると、さっそく動きました。入店した瞬間から気になっていた、厨房横から奥へ伸びる空間へ真っ先に向かうと、通路の突き当たりにある洗面所スペースの前に立ちました。すでにそれらしい波動が色濃く漂っていたので、迷わず女子トイレの方の扉を開けたところ、便器の真上にぶら下がって揺れている首吊り死体と遭遇しました。

もちろん実物が吊されていたということではなく、過去に起きた出来事の残留思念を感知したわけです。自殺していたのは中年過ぎから初老の年代と思われる女性で、いかにも無念という表情を浮かべてこちらを見下ろしていました。念を飛ばしてコンタクトを試みましたがいくら呼び掛けても反応がなく、とうに主体の意識を失った霊幽体の抜け殻であると悟りました。

(いつ頃、自殺したのだろうか?)

あらためてその衣服を見ると、着ているブラウスやスカートのデザインにどことなく昭和のテイストを感じましたので、恐らくその時代の霊であろうと見当を付けました。得られる情報はこれが限界で、ひとまず経文を唱えて扉を閉じました。

この女子トイレの他にも、店内で気になる場所が数ヶ所あり、次にそれらを順番に見て回りました。都合、5体ほどの地縛霊を発見したでしょうか。いずれも自死かそれに近い形で非業の死を遂げた者たちの霊的残骸で、先般の首吊り女と同じく、まともな意思疎通は叶いませんでした。

ただ例外として1体だけ、厨房を小走りで駆け巡っている、こちらは20代半ばくらいと思われる若い女の姿もありました。その女が傍らを通り過ぎる度に、下ごしらえをしていた従業員たちが不審げに手を止めたり、しきりに振り返ったりしていましたので、彼らも見えないながらに気配は感じていたようです。

この若い女の霊だけはいまだに自意識を保持しているようで、「どこっ?どこっ?どこにいるのっ!」と絶叫しながら、必死の形相で何かを探し回っていました。霊体を維持する念波動の位相も高く、物質世界に干渉できるレベルだったのですが、他の自殺霊たちと同じように私の言葉が届くことはありませんでした。恐らくそれは彼女が死ぬ間際、何らかの原因で精神が錯乱し、死後もその混乱した意識を引きずっているからだろうと推測しました。

それと知らずに幽霊マンションを購入してしまった?!

店内を一通り確認すると、私はDさんが待つテーブルへ戻りました。

「先生、どうです。分かりましたか?」

「過去にこの場所で、かなりの人数が自殺していますよね。ご存知でした?」

「おっ、見えたんですね。他には?」

「ひときわエネルギッシュなのが1体いました。ノースリーブの赤いワンピースを着た、若くて髪の長い女です。多分、その女の姿を目撃する従業員やお客さんが多くて困っていらっしゃるんじゃないですか?」

私の指摘は図星であったようで、相手の様子が急変しました。尊大な態度から一転、卑屈に頭を下げ始め、「どうにかなりませんかっ!」と泣きつかれました。

「先生は他所の方だからご存じないと思いますがね、じつはここの土地にまつわる噂、地元ではもうある程度広がっていましてね。本当にもう困り果てているんですよ。この店も、その噂を打ち消すためにわざわざ開いたようなところがあって、何が何でも潰すわけにはいかないんです」

「あの、このお店が建っている土地はどなたの…?」

「ええ、もちろん、土地ごとウチの会社のモンです。この店も裏の駐車場も、それからその奥に建つマンションも全部ひっくるめてね…」

私の能力を信頼するに足ると判断したらしく、Dさんは堰(せき)を切ったように打ち明け話を始めました。

彼が一帯の土地を買い占めたのは、およそ5年前。鉄道駅から至近にある廃屋付きの土地が競売に掛けられていることを知り、それを入札、入手したのが事の発端でした。土地の広さは100坪ほどで、最初はそこに飲食店などの商業施設を中心にしたテナントビルを建設する予定でした。するとその機を見計らうように、今度は隣接する賃貸マンションの所有者から「自分が持っている土地建物もついでに購入しないか」という申し出があり、向こうの言い値が破格であったことから、そちらの物件も併せて購入。合計500坪以上に及ぶまとまった敷地を手に入れることとなりました。それで、「こうなれば大手のデベロッパーに持ちかけて大型マンションでも建てやろうか」と意気込んだところ、前から建っていた古いマンションに深刻な問題が起きていたことが分かったのです。

「一言で言うとね、この辺で有名な幽霊マンションだったんですよ。初めは『そんな馬鹿なことあるかい』と笑い飛ばしていましたがね、いざ、ウチの会社で管理し始めてみると、とにかく店子の入れ替わりが目まぐるしいわけです。2年の契約更新で出て行くのはまだましで、酷いのになると1ヶ月も保たずに逃げ出す始末でね。それでもまあ、それでも常時部屋が埋まっていれば一応、経営上の問題はないわけですが、噂が噂を呼んで広がり続けているせいか肝腎の入居率もさっぱりで、こりゃ、ババを掴まされた!と気づいた時は、もう後の祭りですわ…」

幽霊マンションを売りつけてきた男は行方不明。さらに過去の土地売買の経緯も明らかとなり…

不動産を取り扱う事業家にしてはうかつな話だと思いました。ただ、当初は古い賃貸マンションの方も早々に壊して、取得した土地全体を再開発しようと考えていたわけですから、現状の物件の入居率の低さなどは考慮しなかったのかもしれません。しかし不吉な土地だという噂が今後も際限なく広がり続ければ、その再開発自体にも懸念が生じてくるわけで、Dさんの顔色に浮かぶ深い苦悩の色はそんな板挟みの状況が原因であると理解できました。

東京都心や大阪のような地縁の薄い人々が日々大量に行き交う大都市であれば、掘削工事の際に古い時代の人骨などが発掘されたとしても、必要な届出や調査をするだけで後は何事もなかったように開発が進みます。地価が飛び抜けて高いので、いちいち気にする余裕はありませんし、よしんば幽霊が出ると囁かれる場所であっても好立地であれば人が集まります。

しかし、もしこれが比較的人口が少ない地方都市となるとそうはいきません。古くから地元に住み続けている住人が圧倒的に多く、要は人の移動が緩やかなので、特定の個人や家系、土地などについての悪い噂が長く尾を曳くということが起こりやすいわけです。ましてやそうした地方都市に新しいマンションを建てるとなれば、購入者の大半は地元かその近隣地の住人ということになりますから、Dさんが頭を抱えた理由もよく分かります。

「私もすぐ近くの生まれなんでよく知っているんですが、この辺りの連中って言うのは、昔から迷信深いというか陰険というかね。ここは開けた街中ですからそうでもないですが、ちょっと山奥の方へ行けば、いまだに犬神憑きがどうしたとか、やれ村八分だとか、そういう馬鹿げたことをほざく連中がいますよ」と、苦々しい顔で漏らしていました。

こうした次第で完全に後手に回ってしまったDさん、遅まきながらマンションの元所有者である地主の男性に、説明責任を問うてやろうと考えましたが、当の相手はすでに自宅まで売り払って雲隠れしている状況でした。

「こりゃ、いよいよおかしいと思いました。他にも何か隠していることがあるんじゃないかとね。それで興信所まで雇ってそいつの行方を調べ上げていると、一緒に知らなかった話も出てきました。元々はその男も私と同じで、初めにここの土地を持っていた地主から『言い値で売るから買わないか』と持ちかけられたんだそうです。で、当時はその地主が管理していた家作のボロ家がひしめきあって建っていたらしいんですが、ほとんどが空き家の状態で、いちいち立ち退かせる手間もなく更地にして今、店の裏に建つあのマンションと駐車場を作ったってわけです。田舎にしちゃ便利な立地ですからね、そこに垢抜けた感じの新築マンションができたもんで、すぐに満室になったそうなんですが…」

「しかし幽霊が出ることが分かってきて、住人が逃げ出し始めたと?」

「ええ。首吊りをした女やら男やらの幽霊が、真夜中に窓の外から覗き込むとか何とかね。ついさっき、先生がこの店の中で見た類いのヤツです…」

【中編へ続く】